ドクターズインタビュー

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院長インタビュー

がん治療と訪問診療が医師としての“柱”

まずは医師を志したきっかけについて教えてください
まずは医師を志したきっかけについて教えてください

親戚のがんがきっかけです。私の祖母と叔父は、どちらも胃がんでした。当時、がんは不治の病と考えられていて、子供の私はもちろん、彼らの主治医でさえ何もできることがありませんでした。

しかしその時、子供ながらに「祖母や叔父のような人たちが、できるだけ苦しまない方法はないのか?」「何とかして、治す方法を見つけられないのか?」と強く思ったのです。その思いが私を医師の道へ、そしてがん研究への道に導きました。

私には順天堂大学大学院の医学研究科や、国立遺伝学研究所でがんの遺伝子研究に取り組んでいた時代がありますが、それは少なからず祖母や叔父のおかげです。

2007年に独立し、訪問診療専門のクリニックを立ち上げたのはなぜですか?

研究所はもちろん、大学病院ではなかなかお一人おひとりの患者様と向き合って、退院後のサポートまでするということができません。しかし長年そうした医療機関にいるうちに、医師として自分が担当した患者様は最期まで責任を持って診させていただきたいという思いが募っていきました。

そんな思いを抱えているタイミングでした。ちょうど第五次医療法改正があって、在宅療養支援診療所を創設し、在宅で療養する患者様に対する地域のクリニックのかかりつけ医機能が確立されました。これを受け、患者様の最期をサポートできる訪問診療専門のクリニックを開業した、という流れです。

中野ひだまりクリニックを中野区に開業したのはどうしてですか?
中野ひだまりクリニックを中野区に開業したのはどうしてですか?

私自身が中野生まれ、中野育ちだからです。元々は恵比寿や世田谷の方で開業していたのですが、地域医療に携わるのなら地元に貢献がしたいと考え、2020年に移転してきました。実際、友達もたくさんいますし、土地勘もあるのに加えて、母が地元の老人会の会長を務めている関係で、移転後3年にもかかわらず、当初の願い通り地域に貢献できている実感を得られています。

訪問診療専門ではなく、外来診療を始めた理由を教えてください

訪問診療に取り組むうちに、在宅での療養が必要になる前に、患者様の健康をサポートできないかと考える機会が増えていったからです。

そうして外来診療を始めたわけですが、病気になって来院される患者様を診ていると、今度は「そもそも病気になる前にサポートできていれば、もっと患者様のQOL(生活の質)に貢献できるはず」と考えるようになりました。
健康診断や胃カメラや大腸カメラなどを積極的におすすめしているのはそのためです。

例えば大腸がんなら、ちょっとした不調をきっかけに大腸カメラを受けていただければ、大腸ポリープや大腸がんの病変が見つかるかもしれません。大腸ポリープならその場で大腸カメラを使って切除可能できますし、がんであっても早期に発見できれば、それだけ早期に治療ができ、生存率を高めることができます。

病気の発見から治療、通院が難しくなったら訪問診療という形で、一貫して患者様ご自身やご家族の健康を守るお手伝いができればと考えながら、日々の診療に向き合っています。

 

患者様とご家族の“大事なもの”は何かを考える

力を入れている診療は、やはり内視鏡検査と訪問診療でしょうか?
力を入れている診療は、やはり内視鏡検査と訪問診療でしょうか?

そうですね。日本人の死因のトップはがん疾患ですが、このうち、大腸がんは男性で2位、女性で1位、胃がんは男性で3位、女性で5位です(2021年がん死亡数予測)。しかしいずれのがんも、早期発見・早期治療ができれば生存率を高めることが可能になってきています。

そのために高い効果が期待できるのが、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査です。内視鏡検査は体内に直接カメラを入れて画像を取得するので、病変があれば高い確率で発見することができます。

胃カメラ・大腸カメラに対して痛みが心配な方も多いと思いますが、患者様のご希望に応じて鎮静剤を適切に使用し、眠ったような状態で検査を受けることも可能です。ぜひ積極的に検査を受けていただければと思います。

訪問診療についてはどうでしょうか?

当クリニックの訪問診療は24時間365日オンコール体制や一般的なケア・検査に加えて、心エコーを含む全身の超音波検査、国内では珍しい在宅輸血、万が一の際のお看取りにも対応しています。また、長年のノウハウを活かしたサポート、ケアマネージャー様などとの多職種連携にも積極的に取り組んでいます。

住み慣れたご自宅で過ごしながら、しっかりと病気のケアを受けられたいという方は、ぜひお気軽にご相談いただきたいですね。

先生が診療において大切にしていることは何ですか?
先生が診療において大切にしていることは何ですか?

患者様やご家族の意見を大切にすることですね。ただ、病気に関する判断というのは簡単ではありませんから「先生にお任せします」と言われることもあります。そのようなケースでは、長年の経験を踏まえ、ご本人が苦しまない形を選ぶこと、過剰な医療介入をしないことを優先します。

例えば末期がんの患者様が感じておられる体の痛み、心の重みをすべて取り除くのは至難の業です。しかし過剰な医療介入をせず、1つ1つポイントを絞り込んで改善していくことで、体の痛みを軽減し、生きがいを感じられる水準まで導くことは不可能ではありません。

そのためにも、じっくりと相談をしながら患者様、ご家族が何を1番大切に考えているか、何を望んでいるかに思いを巡らせ、治療や療養の方針を決めるよう心がけています。

 

地域の方々に“安心・健康”に暮らしてもらうために

クリニックとして大切にしていることを教えてください。

地域医療に貢献することです。当クリニックは内科、消化器内科、外科を標榜していますが、その他消化器外科、循環器内科、呼吸器内科、整形外科など様々な専門分野を扱う医師が在籍しています。また大規模病院や他院の医師との連携体制も整っており、患者様の状態やご希望に応じて最適な医療を選択することが可能です。地域の方々が、健康面で何かトラブルや不安を抱えた際に、真っ先に相談できる窓口でありたいと考えています。

またこうした総合的な診療体制は、訪問診療の充実にも繋がっています。内科の医師が訪問診療にうかがって、患者様が整形外科の症状を訴えておられた場合は、通常タクシーなどで整形外科に行っていただくか、別途整形外科の訪問診療を受ける必要があります。

しかし当クリニックの場合は、別日などに整形外科の医師がおうかがいすれば、患者様のお悩みを解決することが可能です。このようなワンストップの訪問診療も、地域の皆様が安心してご自宅で療養されるためには重要な機能だと考えています。

当クリニックの関連施設である訪問介護事業所「ヘルパーステーション ひだまり」、医療依存度高度者優先入居賃貸住宅「メディカルサポートハウス ひだまり」も同様です。クリニックでの予防、治療、訪問診療でのケア、訪問介護でのサポート、そして医療依存度が高くなってからのフォローと、一貫したサポートを自分たちで行うことで地域の「安心」を支えていきたいです。

最後に、ホームページをご覧の方々にメッセージをお願いします
最後に、ホームページをご覧の方々にメッセージをお願いします

地域の一員として、末永くお付き合いいただければ幸いです。当クリニックには、親子2世代、3世代といった形で、家族ぐるみで通院してくださる患者様もいらっしゃいます。

そういったお付き合いをしていると、以前はご自分で来院されて、胃カメラや大腸カメラを受診されていた方が、「通院するのが難しくなってきたから、訪問診療をお願いしたい」とお話をくださることもあります。あるいは、お母様が処置室から出てこられたと思ったら、待合室でご子息が診察の順番待ちに座っておられる、といったこともしばしばあります。

このような光景は地域医療に携わる人間として、とても誇らしいものだと感じています。ぜひ今後とも、中野ひだまりクリニックをよろしくお願い申し上げます。

医師インタビュー

豊富な知識と経験を、地域の臨床現場でも

まずは簡単に自己紹介をお願いします
まずは簡単に自己紹介をお願いします

中野ひだまりクリニックでは、日々の診察や内視鏡検査などを担当している、河原正樹と言います。専門は消化器外科で、2022年3月までは関東中央病院で外科統括部長を務めておりました。

大腸の病気の他、がん治療全般、総合診療についても対応が可能で、日本大腸肛門病学会指導医・専門医や、消化器がん外科治療認定医、臨床倫理認定士といった資格に加え、東京都がん対策推進協議会専門委員なども務めています。

どうして医師の道を選んだのでしょうか?

気づいたら目指していました。元々、小さな頃から怪我をした人の手当てをするのが好きな子供でしたね。

専門は消化器外科で、手術を中心とする治療を行ってきましたが、学生時代は消化器内科志望で、手術が本当に苦手でした。手術の実習現場で、あまりに無力な自分に直面し、トラウマのような感情を抱いていた時期もあったほどです。しかし、だからこそ医師として手術という関門を乗り越えねばならないと奮起し、尊敬できる外科の先生との出会いもあり、現在の消化器外科の道に進みました。

「臨床倫理認定士」の資格をお持ちですが、これは?
「臨床倫理認定士」の資格をお持ちですが、これは?

日本臨床倫理学会が認定している資格です。臨床倫理学とは、医療や介護といった臨床の現場における、医師や看護師などの医療従事者たちの行動や姿勢を倫理的視点から考える学問です。認知症や終末期の患者様、意識がなく、人工呼吸器を装着されている患者様などに対し、自分たちはどうするべきかを考える上で、臨床倫理の観点は必要不可欠です。

しかし、このような観点は資格を取得したからといって、完璧に身に付くようなものではありません。医学的観点だけではなく、またご家族の観点だけではなく、患者様ご本人の観点も踏まえた上で、どのように振る舞うべきかを絶えず考えるようにしています。

中野ひだまりクリニックで働き始めるようになった経緯は?

小見山院長から相談を受けたからです。聞けば、近年は大学病院や基幹病院だけではなく、町のクリニックにも診断が難しい消化器系の症状を訴える患者様が増えてきている、特に虚血性腸炎や潰瘍性大腸炎が多い、とのことでした。

虚血性腸炎は高血圧、糖尿病、動脈硬化などが原因で大腸への血流が弱まり、その結果として生じる腸炎のことです。症状が大腸がんと似ており、区別の難しい病気の1つです。また、潰瘍性大腸炎は大腸から始まり、徐々に口側の消化管に向かって炎症が広がっていく病気で、現時点では原因が判明しておらず、難病に指定されている病気でもあります。細菌性腸炎や薬剤性腸炎と症状が似ており、やはり診断の難しい病気の1つと言えます。

そういうお話であれば、私自身が培ってきた知見を地域の皆様のために活かせるかもしれないと考え、中野ひだまりクリニックで勤務することを決めました。

高精度かつ、苦痛の少ない内視鏡検査を目指して

重要視している診療はありますか?
重要視している診療はありますか?

やはり胃カメラ・大腸カメラといった内視鏡検査です。内視鏡検査は、胃がんや大腸がんをはじめとする消化器の病気の早期発見において、有用性と信頼性の非常に高い検査です。日本人の胃がん、大腸がんの多さを考えると、胃カメラは40歳を過ぎたら毎年、大腸カメラは3~5年に1回、ご家族に大腸がんの既往がある方は2年に1回、大腸ポリープがある方は毎年、検査を受けていただきたいと考えています。

大腸ポリープは、ほとんどがん化しない胃ポリープに比べて、がん化する確率の高いポリープも含まれます。そのためポリープの段階で発見・切除することで、大腸がんのリスクを軽減することが可能です。

しかし内視鏡検査の問題は、患者様への負担の大きさです。口から挿入する経口内視鏡はどうしてもオエっという嘔吐反射がありますし、大腸カメラは大腸のひだ1つ1つを入念にチェックするため時間がかかります。そのため当クリニックでは嘔吐反射が起こりにくい、鼻から挿入する経鼻内視鏡を胃カメラに採用。患者様のご要望に応じて眠ったような状態で検査が受けられるよう鎮静剤を使用したり、できるだけ苦しさや痛みを感じずに済むような検査を心がけています。

どんな症状についての相談が多いのでしょうか?

ご高齢の患者様では排便機能障害、若年層の患者様では過敏性腸症候群や内視鏡検査の相談で来られる方が多い印象です。若年層に内視鏡検査の重要性が広まりつつあることは、嬉しいことです。

排便機能障害とは便秘や便失禁のことですが、高齢者の方の場合、こうした症状に大腸がんをはじめとする大きな病気が隠れている可能性が高くなるため、注意が必要です。お薬を出すだけで症状が治まることもありますが、同時に内視鏡検査などを行って原因を絞り込むことが大切です。

また、お薬に関しても様々な排便機能障害のお薬があるため、状態をきちんと見極めた上で最も適したお薬を選ぶことが、患者様のQOL(生活の質)向上に繋がります。

過敏性腸症候群は、便秘、下痢、腹痛が単独で、もしくは組み合わさって生じる病気です。ストレス、腸内細菌、食生活などが原因になっているとされていますが、はっきりとはわかっていないのが現状です。社会的な認知が少しずつ広まってきてはいるものの、周囲の人に症状を理解してもらうのが難しい、わかってもらえないという方も多いため、患者様の心に寄り添ったサポートが必要な病気だと感じています。

あなたの“困った”を助けたい

医師として大切にしていることを教えてください
医師として大切にしていることを教えてください

心の奥底から自然と湧き上がる「目の前の患者様を何とかして苦痛から救いたい」という想いです。困っている人を助けるというのは、人として当たり前のことなのかもしれませんが、私が医師としてのモチベーションを保つことができているのは、この「救済したい」という想いがあるからです。

また小見山院長と自分、自分と看護師・看護助手との連携・コミュニケーションも大切にしています。質の高い医療は、医師ひとりで提供することはできません。多職種が互いに連携し合い、チームとして意思疎通がとれて初めて実現できるものです。そのため、常に他のチームメンバーと報告・連絡・相談し、一丸となって治療に取り組むようにしています。

最後に、このホームページをご覧の方にメッセージをお願いします。

「他で診てもらったけれど、何ともないと言われた」「セカンド(サード)オピニオンが欲しい」といった場合には、ぜひ一度当クリニックを受診していただければと思います。

私は長年消化器外科の専門医としてキャリアを積み重ねてきましたが、これからは今までのノウハウを活かし、従来の町のクリニックでは難しかった診療への取り組みや、臨床現場におけるACP(アドバンス・ケア・プランニング※)の実践などを通じて、地域医療に貢献したいと考えています。

他クリニックでは原因が絞り込めなかった症状や、どうしても納得のいかない診断も、当クリニックであれば力になれる可能性があります。「気のせいかもしれない」と考えたり、「どうしようもない」とお一人で抱え込んだりせず、お気軽にご相談いただければ幸いです。

※患者様ご本人がご家族などと“最期の医療”について話し合い、共有するプロセス

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