ピロリ菌について

ピロリ菌は、胃の粘膜に住み着きやすい螺旋状の細菌の一種です。慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症に深くかかわっており、胃がんの方にも多く見られます。特に50歳以上の年代で感染しているケースが目立っていますので、この年代の方は内視鏡検査などによってピロリ菌の有無を確認しておくと良いでしょう。
なお、具体的な検査法にはいくつかの種類があります(下記参照)。内視鏡を用いず、血液や尿、便などによって測定する方法もありますので、まずは簡便な方法を行い、必要に応じて内視鏡検査に繋げていくこともあります。
胃内視鏡検査によるピロリ菌検査
- 培養法
- 採取した胃粘膜をすり潰し、5~7日間かけて培養して調べる方法です。
- 迅速ウレアーゼ法
- ピロリ菌に存在するウレアーゼという酵素が生成するアンモニアの有無から判定する方法です。
- 組織鏡検法
- 胃粘膜の組織をヘマトキシリン・エオジン染色やギムザ染色し、顕微鏡でピロリ菌の有無を観察する方法です。
内視鏡検査を用いないピロリ菌検査
便を採取し、抗体の原因成分であるピロリ菌の有無を調べる便中抗原測定で検査します。
ピロリ菌の除菌について
上記の検査により、ピロリ菌の存在が確認された場合は、ピロリ菌を除菌するための治療を行います。具体的には、胃酸の分泌を抑制する薬剤と2種類の抗生物質を1週間ほど服用して除菌いたします。
これにより胃の中にピロリ菌が存在しない状態を目指しますが、一度の除菌では撲滅できないこともあります。ピロリ菌除菌療法を行ってから1か月後に判定を行い、もう一度、除菌を行うこともあります。
なお、除菌に成功することによって胃がんなどのリスクは大幅に減少しますが、罹患率がゼロになるわけではありません。除菌後も、定期的に内視鏡検査などを受け、胃の状態をチェックしておくことが重要です。